9月のFlyFishing

9月2日 SummerRiver's FlyFishing in Sorachi

Today'sFishingData

 

使用ロッド: Orvis PM10 9f 5# 4P
使用リール: System2 5/6
使用ライン: WF5F
リーダーティペット: 12f 4X
フライ: オリジナルカディス12#
釣果 虹鱒2本 イワナ4本 う・・・
  MAX65
  MIN15
   

空知川の虹鱒

暑かった8月も終わり、9月の朝晩はやはり北海道!と確信できるような気温になってきていて妙に安心できる。そんな中、老釣師は空が開ききらぬ4時から東の大地を駆け抜けて、釣場を渡り歩いてきた。釣が目的でもあるような、そうでもないような。懐かしい友の顔を見るようでもあるし、ちょっと怖かった教師に会うような気分でもあった。薄暗い草原に転がっている白い牧草ロールも懐かしくさえあった。

しかし目的の川に着くまでに歩いた草原の中のワクワクした思いはロッドを振り出した数分で、予想通りとでも言うのか大きな落胆が僕の胸を締め付けた。そして最後の僅かな希望を吐き出すまでそれほど時間はかからなかった。「今年もだめなんだなぁ」そんな独り言を残して釣場をあとにした。早朝の1時間で1日の釣が終わってしまッたと言う事実は、これから走りきるであろう数百キロのドライブの何倍もの疲労感を僕に背負わせたのだ。

峠も順調に越えてくだって行く。蒼い空がとても高く思えて、やっぱり秋なんだなぁとはっきりと感じることが出来た。そんな初秋のドライブは何処もかしこもゆるゆる走る車が多い。僕の場合、朝が早い→ポカポカ暖かい→スピードが遅い→眠くなる→安眠基本構造には勝てず、道端の広いところに車を止めて、シートを倒した。

蒸し暑い車内の熱気で目が覚めた。背中は不快な汗をかいていた。車から降りてよたよた橋へ向かった。見下ろす川には釣り人の姿もラフティングで下る人たちの姿もなかった。昨日までの夏の川の面影は消えて、たくさんのアキアカネが舞っている川面には風に飛ばされた気の早い落葉が流れていた。

左側の黄色い岩盤付近にはたくさんの黒い影が揺れていた。ウグイだろうかイワナだろうか、日向ぼっこでもしているのだろうか。その少し上には控え目なライズがあった。眠っていた頭が少し目覚めた。体を目覚めさせる意味で1,2時間釣りをすることにした。5番ロッドを繋いでシールをセット。リーダーを新しい12f4Xに変えた。ティペットも5Xを60cmくらい追加した。この川には賢いアメマスと大きな体躯の虹鱒がいる。

川を横切り橋脚の下から上流を見やった。遠浅な川底は黄色く明るいのが岩盤で黒い部分が玉石。水の流れは多くもなく少なくもなかった。ラインをリールから引っ張りだして、フォルスキャストで20mほどのレンジを探るのだが、ともかく手前の小さなライズの主を確かめようと思った。放たれた最初のフライは静かに流れた。そしてピックアップ寸前で大きな飛翔を残して食われた。イワナかアメマスか、ともかくなかなかのサイズと見た。頭よりも早くあわせたと思ったが、フライは宙を舞った。どこか夢心地の合わせがとても浅かったようだ。

フライを乾かして少し上流側木の枝が垂れている下へとキャストした。黄色い岩盤と黒い玉石の上をユラユラとフライは流れた。小さな飛翔と共にフライは消えていた。ゆっくり大きくロッドを合わせると、グッグッツとバットを押さえつけるような強さがロッドを通して伝わってくる。まるで岩を釣ったかのようだ。次の瞬間、ラインがすさまじい勢いで上流へ伸びて行った。数10メートル先で水面が盛り上がった。大きな鱒が右側へ流れるように走ってゆく。リールは金属音を発していた。

どれくらいの時間リールを押さえながら腰を落して川の中央に立ち尽くしていたのだろうか。走ってゆく鱒を眺めていたと思えば、戻ってくる鱒に合わせて勢いよくリールノブをまわしている。気にしていたのは、背中に流れている瀬にだけは鱒を追いやってはいけない、と言うことだけだった。

ネットに入ったのはほとんどラッキーだったように思うし、いや狙いどうりだったようにも思う(笑)腰から出したインスタネットの径よりもはるかに大きく長い鱒だった。岸に寄せようにも木が生い茂った状態では寄せようもなかった。数度のトライでもティペットが切れなかったのは本当にラッキー。頭からネットに入ると同時にフックは外れた。もちろんこれもラッキーに違いない。

 

蘇生には時間がかかった。鱒は何時までも横たわっていたかったに違いない。大きく口を動かす仕草はのどを潤すようにも思えた。僕は虹鱒を決して美しいと感じたことはない。大きくなる鱒特有の腹部のボテボテ感やなんだか偽者くさい赤い帯、異常に多い黒点。日本的ではない、この鱒のケバケバした雰囲気が好きではない。だが。鱒は好き嫌いで語られるものでもないことも知っている。釣りと言うスポーツにおいては鱒は僕の好敵手であって、好き嫌いの対象ではないからだ。だからこの鱒にもしっかりと再生して、また僕をワクワクさせて欲しいと願って体を何時までも支えていた。鱒はよろよろしながらも先ほどライズしていた流れへ戻っていった。皆がするように僕も蒼い空を見上げて、「やったな」と呟いた。