釣り人と釣場を考える

釣場と環境

明日の釣

 

外来生物法と北海道の関係について考える

暴走の結末が外来生物法だ

外来生物法とは・・・特定外来生物による生態系に係わる被害を防止する目的で作られたもの。

目的
  • この法律の目的は、特定外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命・身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、国民生活の安定向上に資することです。
  • そのために、問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来生物の防除等を行うこととしています。
外来生物とは


特定外来生物とは
  • 特定外来生物とは、海外起源の外来生物であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。
  • 特定外来生物とは別に、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼす疑いがあるか、実態がよく分かっていない海外起源の外来生物は「未判定外来生物」に指定され、輸入する場合は事前に主務大臣に対して届け出る必要があります。届出がされた場合は、主務大臣が判断し、影響を及ぼすおそれがある場合は特定外来生物に指定され、輸入等について規制されます。影響を及ぼすおそれがないと主務大臣が判断した場合は、特に規制はかかりません。
  • 外国から生物を輸入する場合、税関でその生物が特定外来生物又は未判定外来生物かどうかをチェックすることになるのですが、特定外来生物等と外見がよく似ていて、すぐに判別することが困難な生物がいます。これらは「種類名証明書の添付が必要な生物」といい、外国の政府機関等が発行したその生物の種類名が記載されている証明書を輸入の際に添付しなければ輸入できません。
  • 外国から生物を輸入する場合は、以上の3種類の生物について、新たに規制もしくは書類の添付が必要となりますので注意してください。


外来生物法の被害予防三原則・・・国際会議において費用対効果が高く、環境的にも望ましいと言うことで、決められた三段階のアプローチ
  1. 入れない
  2. 捨てない
  3. 広げない
例外として日本国内の移入や渡り鳥や風によって運ばれる種皮、海流で運ばれる魚など自然によって運ばれてきたものについては、除く

詳しくは環境省の外来生物法のサイト


さてここで問題になるのは、この法律は生態系を維持、改善すると言う趣旨のものではない、と言うことだ。外来種によって被害を受けている、産業を営む人間を中心とした生態系を保護する、ことを目的としていると思われる。なぜなら生態系の的確な調査を日本全体において行った経緯も無く特定地域の外来魚によって利益を損なっていると思われる産業からの指摘が発端となっているからだ。

産業上の生態系(こんな変なものあるか)においても、通常の生態系においても、悪化している要因は、研究機関や個人の調査でも第一に挙げられている「環境悪化」なのだがなぜか「外来魚による在来種の駆逐と崩壊」に摩り替わっているのだ。釣人関連ではなんと言ってもブラックバスだろう。そしてトラウトではブラウントラウトとなる。

これ以上の外来魚の移入や定着に対して、確かに予防三原則は必要なことだとは思う。

 


ニジマスを考える

平成17年5月22日、(社)北海道スポーツフィッシング協会主催で「2005虹鱒を考えるフォーラム」が開催された。基調講演として水口憲哉氏が外来法(外来生物法の特定外来生物指定に関する)と「北海道以外の虹鱒の現状」を語られた。サケマス事業や外来法の矛盾をところどころにちりばめて、大変参考になるお話だったように思う。この内容に関しては、北海道の釣雑誌「ノースアングラーズ 誌」7月号に記載されているので、そちらを参考にすると良いだろう。ここでは私なりの解釈で記載してゆくので、これに関して意見や質問はご遠慮願いたい。このサイトは私個人のもので、団体や行政に参加しているわけではない。私個人が考えている「問題の整理」もしくは「愚痴」と思っていただこう。どうにも勘違いしている釣人が多く、質問やどういうことだ?等いろいろとメールが来る。疑問があれば自分で調べて疑問を解決してくれる所定の機関へ電話するなり、訪問してみればよい。私に質問などと言うのは見当違いもはなはだしい。

まずは良く出てくる表記について整理してみたい外来生物法・・特定外来生物による生態系に係る被害を防止する為の法律・・詳細は環境省のサイトを帰して置くのでここを参考にしてほしい、直リンクではないのでご注意。またこれには目的があって(結構怪しい書き方)特定外来生物による生態系、人の生命、身体、農林水産業の被害を防止し、生物の多様性の確保、人の生命、身体の保護、農林水産業の健全な発展に寄与することで、国民生活の安定向上を資すること、とある。この文を十分に理解してほしい特定外来生物・・上記の問題を引き起こす、外来生物を「特定外来生物」と指定する。さらにはこれらの飼育や栽培、保管、運搬、輸入と言う処置を規制し防除を行う。日本国内種の移入、渡り鳥、自然によって運ばれたもの、海流で運ばれる魚類哺乳類は除く侵略的外来生物・・定着して自然環境に大きな影響を与え、生物の多様性を脅かすもの。沖縄のマングースやアメリカにおけるコイなど生物の多様性・・生物にはいろいろな種類がいて環境や条件によっては同一種でありながら遺伝的に違うものがある。これらの多様性を支える環境を保全することが重要。外来種・・生物学的にはある地域に人為的に外部から導入される生物種を言い、移入種と言う表記も含め全ては外来種と考えることも出来る。移入種・・これとは反対に人為的に持ち込まれた国内以外の移入種を外来種と言い、ある地域に存在していないが、人為的に持ち込まれた国内種を移入種とよぶ考え方もある。外来法では国内のものは移入と表現している。私は生態系を脅かす可能性のある「そこに存在しない種」を外来種、現存しているが生態系に与える影響が少ない国内のものを移入種と考えております。それでは私が考える淡水域における虹鱒と北海道の淡水系魚類の保全の話をしてゆこう。 

保全しなければいけない魚種は、適切なサイトがあったのでここの一部文章を抜粋しよう(北海道淡水魚保護ネットワーク http://www.city.chitose.hokkaido.jp/ffnet/

「その地域に自然分布し、そこの河川・湖沼生態系の構成要素としての構造と機能を持つ在来の淡水魚」と言うことになる。また北海道について言えば、この島の地史的変遷を通して形成された陸水系に適応・定住し、独自の種間・種内における生物間相互作用のメカニズムを形づくってきた自然分布種の約60種の淡水魚となります。外来種、つまりブラウントラウト、ニジマス(もちろんバスも含む)など、人為的移入によって北海道の一部地域で定着している淡水魚は、生物多様性の観点からそれぞれの自然分布域では保全されたとしても、北海道においては在来淡水魚の生存や多様性に負の影響を与える恐るべき外来生物・・alien invasive speciesである。関連サイトを列記しておいたぜひ見てほしい

北海道淡水魚保護ネットワーク http://www.city.chitose.hokkaido.jp/ffnet/

インターネット自然研究所http://www.sizenken.biodic.go.jp/

外来生物法http://www.env.go.jp/nature/intro/3shiryou.html

生物多様性とは?http://www2.odn.ne.jp/~had26900/shokubutsu_no_bunrui/about_biodiversity.htm

WWFジャパンhttp://www.wwf.or.jp/wildlife/seibututayousei/




北海道の釣り場について考える・・・放流 屈斜路湖編

2004-4-2
内水面における北海道の釣は、やはり川がメインですよね。すばらしい川は沢山あって、1年かけても全てをまわる事などできません。北海道を4つに分けてみても移動の距離だけで大変、片道1日に500kmなんて当たり前の地域ですからね。


湖も有名なところは沢山あるのですが、釣れない湖も多いですね、代表格は支笏湖、洞爺湖ですかね(笑)あくまで私中心にね。道東にだってあるのですね、屈斜路湖です。大きな湖って探り所が分からないので釣れない場合が多いのですね。ただしこのような湖って大物がいるんですよね、ランカーサイズ。今回お話する屈斜路湖はクッシーでも有名なように巨大な生物が住んでいそうな雰囲気がありありの湖です。生息する鱒は虹鱒、アメマス、ホウライ鱒(無斑虹鱒)、桜鱒(ヤマメ)、ヒメマスなどです。


この湖の遊魚の歴史は火山活動と地震による寸断が幾度もあって、鱒の生息が困難な湖だったことは、よく知られています。今生息している鱒類はほとんどが移入魚で地元や町などの団体が放流したものです。海につながる釧路川の源流部としてみた場合にアメマスが遡上している可能性はあるので、ネイティブとしてやはりアメマスしかいないことになります。


近年、北海道内の放流活動にかかわる問題としてはブラックバスとブラウントラウトに尽きます。北海道内では水温が生息に適さないと言うことで存在が未確認だったブラックバスが余市ダムで確認されています。ブラウンに付いては支笏湖や日高の河川湖沼で確認されていて、分布図は拡大されるばかり。しかし移入魚と言う意味では虹鱒や蓬莱鱒も同じものなのです。




春先、屈斜路湖で大きな虹鱒・・私の体験上60cmの虹鱒は大物なので・・を釣りました。釣りの時期としては単純に氷も落ちて湖が開いたので釣に行ったと言う単純なものなのだが、釣れた鱒は明らかに産卵の為に遡上するものだった。基本的に虹鱒の産卵期は春3月ごろから10月までとかなりの広い期間とされているが、ここにおいてはこの時期が産卵期と思われる。


知ってのとおりに大規模な地震によって魚の住まない湖だった屈斜路湖に魚族を放流して何とか魚の住める湖へと言う願いから地域の放流活動は始まった。今でも地元中心に放流は続けられているのだが湖のキャパシティから見るとこの数字は少ない。釧路川からの遡上魚も増えてネイティブなアメマスや桜鱒が増えてはいるとの情報もあるが、これも数字的なデータはないし遡上自体が確認されているわけではない。従って今の鱒は放流ものがとても高い比重を占めると思って間違いないだろう。

釣りのポイントとなる各流入河川は何処からも入リ易いので、時期さえ掴めていると簡単に釣ることが可能だ。その為に放流された鱒が容易に持ってゆかれることになる。数が少ないところに持ってきて抜いてゆく人も多いのでは、鱒は増えることは難しい。


各釣り場のポイントにはキャッチアンドリリースを促す看板が設置されている。釣人にとって鱒が釣れる釣り場というのは身近ところにあれば都合が良いと思うのは当然です。しかも大きな姿で楽しいファイトをしてくれる鱒がいるフィールドは残してゆきたいし、維持もしてゆきたい。キャッチアンドリリースと言うのは間違いなくこの部分には有効です。ただし本来維持して行かなければ行けない釣り場は本来そこに生息していたアメマスや山女が泳ぐ川や湖でなければいけません。生態系と言う観点からは誰しもそう思うでしょう。


しかしこれは屈斜路湖においては現実的ではありません。この湖が噴火によって生物のすまない湖になった時点で生態系は根本から変わってしまったのです。国の事業として以前の生態系に戻す努力や事業をしたと言うのであれば何百年かかろうと戻ることも可能だったでしょう。しかしそのような行政の動きはなくて生物のすむ湖に戻したいと考えたのは地域の人々であり釣人だったのです。



一時期鱒の住まない湖と言われていたのですが、地元グループによるウグイ、アメマス、紅ざけの稚魚(以上阿寒湖産)サクラマス、虹鱒(一時期は阿寒湖産だが今は不明)、などが順次放流されて道東を代表する釣のフィールドとならんとしています。ただこの屈斜路湖、阿寒湖や支笏湖、多くのダム湖とは違い水位を管理する施設がないので自然現象で水位が変化しますので、雪解けや大雨により屈斜路湖から一気に釧路川へ大量の水が流出します。その為に多くの鱒も一緒に釧路川へ降ってしまうという問題があります。もともと流入河川が産卵の川ではない魚類が殆どなので当然といえば当然の結果ともいえます。阿寒湖のアメマスでさえ稚魚を各河川の上流部で放流しても殆どが尻駒別へ遡上するように歴史的な過程を持たない場合はなおさらなのではないでしょうか。屈斜路湖においてもっとも的確な放流方法と放流量の多いものはチップではないでしょうか、遡上河川への発眼卵の放流(放卵?)も行われているので尾札部川河口には多くのチップが集まります。


反対に釧路川から屈斜路湖への遡上はなかなか思うような結果は得られていないようです、というよりも調査が行われてはいないのが現状なのかもしれません。アメマスはそれほど上流へは遡上しないで途中で産卵や越冬をします。サケにしてもサクラマスにしてもこれは同じことが言えるのかもしれません。それほど難しいことを地元はやろうとしているのですが、はたしていたずらに釣りフィールドを維持することが目的で遺伝子を大きく操作している虹鱒をたくさん放流してゆくというのは問題があるのではないだろうか。放流しても流れてゆく、だから安い鱒をどんどん放流して実績を作ってから漁協および漁業権を取得というのは問題がないのだろうか。このような短絡的な思惑で地元の方が挑んでいる訳ではないと思いますが、これらの問題は屈斜路湖だけではなくて釧路川にも関係する内容を含んでいます。


屈斜路湖に鱒を定着させるひとつの方法として即効性はないが釧路川で捕獲したアメマスやサクラマスを採卵、受精して発眼卵を流入河川に落として行くというものがあります。しかしこの方法をとるにもどのような準備と対応が必要なのかサケマス孵化場(行政など)との検討も辛抱強くしなくてはいけません。別寒辺牛の砂防ダム反対のような、反対する目的と矛先、参加方法がはっきりしている場合は誰もが行動しやすいのですが、「釣りに関わる問題」だけでは多くの人の理解と応援を望むのは困難でもあります。だからこそ我々釣人はこのような問題に目を向けて必要であれば何らかの形で積極的な参加をしなければいけないのです。他人事ではない釣り場の維持管理、これらは重要な問題です。

害魚ブラウントラウト

北海道立水産孵化場がブラウントラウトに関する記述をサイト上に残しているので紹介しよう。これは2002年に「北海道における外来種の問題」として取り上げたものを引用しています。

移殖種ブラウントラウトの生態系への影響

はじめに

ブラウントラウトは、北海道では1980年に初めて発見されて以来、2001年までに40の水系で確認されている(水産林務部資料)。分布の拡大に加え、自然繁殖や回遊の実態、食性、在来種への影響などが断片的ながら明らかとなるにつれ、生態系へ及ぼす影響について問題視されるようになってきた(例えば鷹見・青山、1998;つり人社、2000)。 そこで、ブラウントラウトが北海道の生態系に及ぼす影響について、海外および国内における調査事例を基に考察する。

世界における分布

ブラウントラウト(Salmo trutta)はサケ科(Salmonidae)タイセイヨウサケ属(Salmo)に属する魚類である。原産地はアイスランド島、イギリス諸島、ユーラシア大陸のアラル海より西側、シシリア島などの地中海の島、およびアフリカ大陸最北のアトラス山脈であるが(Elliott1994)、19世紀半ば頃から釣りの対象魚として世界各地に移殖されてきた(Bagliniere and Maisse1991)。他のサケ科魚類と同様に、多くの水域で定着および繁殖が確認されており(Fausch1988Krueger and May1991)、現在はロシア西部、パキスタン、カシミア、ネパール、スリランカ、日本などのアジア各地、ニューギニア、オーストラリア、タスマニア、ニュージーランドなどのオセアニア、マダガスカルを含むアフリカ大陸中南部、カナダ、アメリカの北アメリカ大陸、フォークランド島を含む南アメリカ大陸に分布する(Elliott1994)。

これらの人為的な移殖によって分布が拡大する他に、ブラウントラウトは移動性が強く(Bagliniere and Maisse1991)、一生を川で生活する生活史を持つ河川型が移殖先で降湖型、降海型へと変わることがあり(Groot1996)、カナダのニューファンドランドでは移殖された河川だけに留まらず、海を通じ多くの河川に自ら分布を広げ、そのひとつに60マイル離れた河川にも分布を広げた例もある(Dymond1963)。

海外での移殖の影響

一般的に、もともとそこには生息しない種を移殖すると、在来種に対し何らかの影響を及ぼす。そして種間の餌や生息場所をめぐる競争は、移殖種と在来種が近縁で生態的に類似すればより強く現れる(中野・谷口,1996)。海外ではこの種間競争の影響により在来種が移殖種に排除されたり、減少したりすることが報告されている。例えば北米東部の多くの水系から在来のカワマスが姿を消し、ブラウントラウトに置き換わった(Krueger and May1991)。そしてそのなかの具体的な例として、ミネソタ州のバレークリークではもともとサケ科魚類はカワマスしかいなかったが、ブラウントラウトとニジマスを放流したところ、15年後にはカワマスの生物量の93%がブラウントラウトに、5%がニジマスに置き換わった(Waters1999)。このような置き換わりを実証するものとして、Fausch and White1981)は、カワマスとブラウントラウトが生息する川で実験的にブラウントラウトを取り除いたところ、カワマスはブラウントラウトとの競争から開放され、より条件の良い場所へと移動すると報告した。さらに移殖種が在来種に与える影響として、最も直接的なのは捕食である。ブラウントラウトは魚食性が強いため、移殖先でさまざまな影響を与えてきた(Krueger and May1991)。例えばミシガン州のオーセブル川では30p以上のブラウントラウトの胃から高い割合で魚類、特にカワマスが出てきた(Alexander,1977)。オーストラリアでは、日本のキュウリウオに近いガラクシアス科の在来種が、移殖されたブラウントラウトの強い捕食圧により絶滅した(Jackson and Williams,1980)。移殖種が在来種に与える影響はその他に、移殖種から在来種への寄生虫や病気の伝播、移殖種と在来種の交雑といった遺伝的攪乱の形で報告されている(Krueger and May,1991)。 

日本での調査研究例

移殖の経緯と生息域の拡大ブラウントラウトの日本への最初の移殖は1892年とされるが(Elliott,1989)、北海道への移殖はそれから一世紀近く経った1978年であり、釣り資源用として新冠人工湖に1万尾、静内川上流に5千尾の稚魚がそれぞれ放流されたものである(米川,1981)。その後、主として釣り愛好家らによる移殖放流で北海道での分布は急速に広がり、1997年までに18水系で(鷹見・青山,1999)、2001年までに40水系で生息が確認されている(北海道水産林務部資料)。

自然産卵については、1988年にブラウントラウトの採捕記録がある支笏湖(鷹見・青山、1999)へ流入する美笛川で初めて報告された(佐川ら,2000)。さらに、1980年代後半に移殖されたとされる千歳川支流の紋別川では、ブラウントラウトが自然産卵するだけでなく、原産地と変わらない成長を示すことから、この環境にうまく適応していることが明らかになっている(鷹見ら、2002a;青山ら、2002b)。また、北海道沿岸の各地で降海型も発見されており(Aoyama et al.,1999)、これまでブラウントラウトが生息しなかった保護水面の厚田川では、2000年に海から遡上したと思われる個体が1尾発見されたことから(中川、2001)、今後北米と同様に海を通じて別の水系に分布が拡大する可能性も否定できない。

在来種との種間競争国内におけるブラウントラウトの生態に関する知見は、食性に関するものが多く(白石・田中,1967;真山,1999;青山ら2002a;三沢ら、印刷中)、種間関係についてのものは乏しい。千歳川の支流である紋別川において、在来種のアメマスとブラウントラウトの分布と生息数および食性を調べたところ、紋別川の中下流域では移殖から15年ほどで最も個体数の多い種がアメマスからブラウントラウトに置き換わってしまったこと、アメマスとブラウントラウトは共に餌料生物として陸生昆虫への依存度が高く、陸生昆虫の供給量が少ない時は両者の間で競争が起こる可能性があることなどが示された(鷹見ら、2002a、2002b)。

小山(2002)は、尾叉長20cmほどのアメマスとブラウントラウトを1尾ずつ1つの水槽に入れて、その中のサケ稚魚の捕食尾数を調べた。その結果、アメマスはブラウントラウトに攻撃され、表層へと追いやられ、ブラウントラウトの方が多くのサケ稚魚を捕食する場合がほとんどであった。このことから、ブラウントラウトはアメマスよりも排他性、攻撃性が強いと考えられたが、別の実験ではアメマスとブラウントラウトの攻撃性に差がないという結果も得られていて(小山、未発表)、結論は出ていない。 

一般に種間競争には、両種の排他性、攻撃性の違いに加えて、水温や流速などの物理環境や餌生物の供給量などが複雑に関わり合っている(中野・谷口、1996)。水槽内および自然環境下における種間関係については、今後詳しく調べる必要がある。

 在来種に対する捕食

真山(1999)は、移殖種が在来種に与える一番直接的な影響である捕食について報告した。千歳川においてサクラマス幼魚およびブラウントラウトのサクラマス稚魚に対する捕食について調査したこの報告では、サクラマス幼魚の1歳魚は36.4%が、ブラウントラウトの1歳魚と2歳魚は22.0%がそれぞれサクラマス稚魚を捕食していたこと、ブラウントラウトの1歳魚より2歳魚のほうがサクラマス稚魚の捕食割合が高かったこと、サクラマス幼魚は表層性の餌料を、ブラウントラウトは底生性の餌料を選択していたことなどを述べている。稚魚の捕食割合を見る限りブラウントラウトがサクラマスに比べて魚食性が強いとはいえない。

ブラウントラウトによる在来種の捕食については他に、千歳川で採捕された尾叉長62pのブラウントラウトが14cm前後のサクラマス幼魚を2尾捕食していたこと、そしてその1尾はリボンタグの付いた放流魚であったことなどの報告(青山ら,2002a)、戸切地川でサケ稚魚放流直後に採捕された尾叉長35.5pのブラウントラウト1尾が100尾近いサケ稚魚を捕食していたものの、そこではブラウントラウトの生息数は極めて少ないためサケ増殖事業に対する影響は小さいこと(青山,未発表)などの知見がある。

また鷹見ら(2002b)は、前述した千歳川支流の紋別川で夏季に、アメマス28尾、ブラウン24尾の胃内容物を調べた。この川には他にフクドジョウ、ハナカジカ、スナヤツメなどが生息しているが、アメマス、ブラウントラウトいずれの胃からも魚類は見出されなかった。調べたブラウントラウトの尾叉長は平均20.6cm、最大34.5cmであった。ブラウントラウトは30cmを超えると魚食性が強まることから(Alexander,1977)、紋別川でブラウントラウトによる在来魚の捕食が見られなかったことが、ブラウントラウトの魚食性の強弱に基づくものなのか、魚体サイズによるものなのか、あるいは季節的な餌生物量の変化などによるものなのかは検討の余地がある。

一方、湖での知見をみると、田中・白石(1967)は中禅寺湖でブラウントラウトはヒメマス、ニジマス、カワマスに比べ最も魚食性が強いこと、ヨシノボリ、ウグイ、マス類などの魚類を主餌料とするが、水生、陸生昆虫、甲殻類、貝類、および両生類といった幅広い餌料生物を捕食していたことなどを報告した。

また三沢ら(印刷中)は、支笏湖でニジマスとブラウントラウトの食性を比較し、後者は陸生落下生物のほかにイトヨ、アメマス、ヒメマスなどの魚類を捕食していたと報告している。前述した小山(2002)の報告で、尾叉長20cmほどのアメマスとブラウントラウトをそれぞれ単独で水槽に入れて行った実験では、両種のサケ稚魚捕食状況に差はないことから、魚食性の強さに違いはないと考えられた。 捕食の影響には、魚食性の強さとともに、生息するブラウントラウトの体サイズや個体数が密接に関わっているため、これらを総合的に調べる必要があろう。

 在来種の繁殖への影響

ブラウントラウトの自然産卵の例を前述したが、産卵場所は他のサケ科魚類と似かよっており(例えばScott and Irvine2000;丸山、1981)、産卵期も例えば千歳川水系では11月下旬から1月と他の在来サケ科魚類と同じかやや遅い(佐川ら、2000;青山ら、2002b)。このような場合、後から産卵しようとする魚が、他の魚の産卵床を掘り返して卵の生存率を下げることが報告されている(Hayes, 1987Scott and Irvine2000)。したがって、ブラウントラウトとサケ科在来種との産卵場所の競合、在来種の卵や仔魚の生存率の低下などが心配される。さらに在来種との交雑の危険性もあり、実際に秋田県雄物川水系ではブラウントラウトとイワナの交雑種が発見されている(杉山,1997)。

 おわりに 

ブラウントラウトが日本に移殖されてから一世紀以上が経過したが、これまで述べたように、その生態についての報告はほとんどが1997年以降であり、ブラウントラウトの在来種への影響について明らかになった事はほんの一部にしか過ぎない。
  1. ブラウントラウトは移動性が強いため、水系内の広い範囲に、あるいは海を通じて別の水系へと生息域を拡大する可能性がある。
  2. 北海道の環境に適応し、生息数を増やして在来種を駆逐する場合がある。
  3. 在来種の捕食という直接的な影響もあるが、過去の事例では影響の程度、範囲は明らかになっていない。

今後は、環境条件の変化の影響なども視野に入れた分布の置き換わりのメカニズム、アメマス以外の魚種、例えばサクラマスとの競合関係などの把握を進めると同時に、人為的な移殖だけでなく、ブラウントラウト自らの戦略による分布の拡大に注意する必要があるだろう。 

ここまでブラウントラウトの生態系、水産業に対する負の影響について考察してきた。これらの影響をさらに詳しく調査することはもちろんのこと、移殖規制、駆除などといった対策が早急に求められる。しかし半面、ブラウントラウトは釣りの人気が高く(青山・鷹見、1997;つり人社、2000)、渡島地方を中心に道内各地で重要なレクリエーションの場をもたらしているのもまた事実である。マス釣りの盛んな米国ワイオミング州では、移殖されたカワマスによって在来のカットスロートトラウトの生息が脅かされているが、こうした問題への対策に先立って地域住民への公聴会などが繰り返され、住民の同意に基づいて駆除などが実施されているという(つり人社、2001;谷口義則氏、山口県立大学、私信)。したがって、行政対応は水産関係者、学識経験者のみならず、釣り人、地域住民など広く一般道民とも十分に論議を進め、慎重に行われるのが望ましいであろう。 

文 献 
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佐川志朗・山下茂明・青山裕俊・西田和功・佐藤公俊・岡本健太郎(2000).支笏湖におけるイトヨ,アメマスおよびブラウントラウトに関する一知見.98’タモ網隊活動報告.カパッチェップ(支笏湖の水とチップの会),11,56-60.

Scott, D. and Irvine, J. R. (2000). Competitive exclusion of brown trout Salmo trutta L., by rainbow trout Oncorhynchus mykiss Walbaum, in lake tributaries, New Zealand. Fisheries Management and Ecology, 7, 225-237.

白石芳一・田中 実(1967).中禅寺湖におけるブラウンマスの食性について.淡水区水産研究所報告,17,87-95.

杉山秀樹(1997).淡水魚あきた読本.pp.183.無明舎出版,秋田.

鷹見達也・青山智哉(1998).北海道におけるニジマスとブラウントラウトの移殖放流とその問題点 北米での研究結果をもとに在来サケマス類の将来を考える.アングリング,廣済堂出版,東京,143,92-96.

鷹見達也・青山智哉(1999).北海道におけるニジマスおよびブラウントラウトの分布.野生生物保護,4,41-48.

鷹見達也・吉原拓志・宮腰靖之・桑原 連(2002a).北海道千歳川支流におけるアメマスから移入種ブラウントラウトへの置き換わり.日本水産学会誌,68,24-28.

鷹見達也・吉原拓志・青山智哉・桑原 連(2002b).千歳川支流におけるアメマスおよびブラウントラウトの分布と食性.魚と水,38,23-32.

つり人社(2000).北海道フィールド考 ブラウントラウトについて.ノースアングラーズ,つり人社,東京,8,108-112.

つり人社(2001).北海道の固有種を守るために 在来種保護を考える.ノースアングラーズ,つり人社,東京,12,100-104.

Waters, T. F. (1999). Long-term trout production dynamics in Valley Creek, Minnesota. Transactions of the American Fisheries Society, 128, 1151-1162.

米川年三(1981).新魚種導入の動き,北海道にブラウントラウト出現.魚と水,19,43-44.


害魚アメマス

島牧でアメマス駆除の刺し網を入れる 2001-03-17今回のアメマスダービー終了後に「サケ稚魚」の保護のためにアメマス捕獲の刺し網を入れると言う情報が入りました。
事実の確認に3/17島牧村漁業組内に電話を入れました。п@0136-76-7311
担当者不在で、電話の応対をしてくれた人との会話です。
Higeは私、島は電話に出た人です。
Hige:お伺いしたいことがあって電話しました、Higeと言います。今回のアメマスダービー終了後にアメマス捕獲用の『網』入れると聞いたのですが本当なのでしょうか?


島:いや初めて聞くけど何処から聞いたの?


Hige:HPを開いているのでその中での話題なのですが、事実の確認をしてから話題として取り上げようと思ったのですが。


島:サケの放流はしているけれど、アメマスを捕まえるなんてのは始めて聞いたけど、担当者は総務?役場のほうでもそんなことするから、わからないなぁ。もし総務ならば『・・・さん』ているから月曜日に聞いたらわかるかも、今日はもう帰ったから月曜日にでも電話すれば?


このような内容で終了。
3/19総務担当佐々木さんへの電話内容
(佐々木さんにはHPでの名前の公表を了解していただきました。)


Hige:(17日に電話した件と窓口が佐々木さんであることの確認、私が個人的HP上での検証の為の電話であることを話してから)・・アメマスダービー終了後にサケ稚魚保護の為、アメマス捕獲の網を入れると言う「噂」があるがこれは事実でしょうか?


佐々木:何処からそんな話が出るのか!・そんな事実はありません。サケ放流事業を円滑に進めるために、以前、アメマスがサケ稚魚を捕食しているか調査のために捕獲したことはあるが、それ以後このような事実はありません。


Hige:あくまで釣り人、間の「噂」なので・・過去にもこのような話が出たことは、あるのですがどうも事実関係がはっきりしなくて。漁協として、「網を入れることはない」という回答は良いですね。ついでと言っては何ですがサケ稚魚の保護のために何か取り組んでは、いるのでしょうか?


佐々木:放流時間を状況によって朝や夜に変えたりします。海岸で海鳥に捕食されないために。また温度が重要なので海水温のせり上がり状況によっても時間を変えます。

以上がこの噂に対する回答ですね。しかし3/17の役場のほうでもすることがあるので・・と言うのも気になるので役場にも確認しましょう。
私的、島牧慕情

私は島牧へ足を運ぶようになって感動したことがあります。それは住んでいる人が釣りに理解があることです。アメマスダービーと言うのが浸透しているのか、雪のため駐車場所がないのでうろうろしていると「ここに止めて良いよ」と快く駐車をさせてもらったことが何度もあります。除雪もしてもらったこともあります。


おじいさんまでこのダービーを知っていて、いろんな話をしてくれたり、釣り場を教えてくれたり。いい街だなぁと思いました。おそらくダービーによって街自体が潤うことは少ないにしろ、歓迎してくれているのは事実と思いました。


過去には害魚扱いされていたアメマスでこれだけのイベントを実施できたことでアメマスの貢献度も少しはあがって「肩身の狭い思い」から脱却できたのではないかと思っていました。


そして今回の島牧漁協の方とのお話からも、アメマス害魚論がなくなっていることを感じますます島牧へ対する尊敬と愛情を感じざるを得ません。
再び刺し網疑惑・・・ある投稿から 2001-04-09
掲示板の中で永豊と整備工場裏に刺し網が入っているとのコメントがありました。
Hige:申し訳ありません、お尋ねしたいことがあるのですが?
魚:なんでしょうか
Hige:私以前もアメマスの刺し網の件で電話しましたものですが、今回私のHPに刺し網の設置と言う投稿があったので確認したいのですが。
魚:ちょっと待っててよ
・・・・・・・・・・・人が変わったようです。
魚:もしもし、刺し網の件ですねお宅は?
Hige:Higeと言いますが。刺し網の目的と言うのは何でしょうか?
魚:組合員が刺し網の申請を持ってきたので漁協は承認したのだが、魚種までは未確認ですね。
Hige:刺し網の魚種と言うのはアメマスのことですか?
魚:いや違いますよ、この時期はアイナメやカジカということが多いです。
Hige:以前も同じ事を聞いたのですが、サケ稚魚保護目的の刺し網ではないのですよね。
魚:全く違いますね、ただ組合員に刺し網の魚種が確認できていないので、なんともいえないけれど。
Hige:わかりました、ありがとうございます。

不審に思われる方はどうぞ漁協へ電話をしましょう。その場合はきちっと名前を名乗りましょうね、私たちは、責任あるおとななのですから。

デモ本当にアメマスって害魚扱いされていたんだよね、阿寒湖でもそうだったんだって。

2004-05-16 阿寒湖におけるアメマスの扱い

阿寒でのアメマス釣が本格化する以前の頃のことを故西山徹さんがティムコのサイトでこのように語っているので興味がある人はどうぞ

価値観の相違とは言うけれど一方方向からの見方からしか出来ないというのは時として悲しくも非常に情けないと感じてしまう。間違いに気がつき改善してこそ人の集団、疑問に耳も心も閉ざしてしまう行為はおろかなことだ。